著者:福島正伸よりメッセージ
私は、23歳で事業をはじめました。
しかし、知識や経験もない私にとって、事業は簡単なものではありませんでした。
何をやってもうまくいきません。
4つの事業に取り組んでみましたが、いずれも失敗に終わりました。
どうにもならなくなったとき、ある経営者の方から言われたことがあります。
「福島君は失敗ばかりしてきたんだね」
「はい、4つの事業に失敗しました。こんなにも事業は難しいものとは思いもしませんでした。
もう、何をやってもうまくいく気がしなくて……」
「そうか~。それじゃ毎日がワクワクして、楽しいだろう!」
「え!楽しい……、いや……、苦しいです」
「なんでだね? 失敗は、楽しいものじゃないのかね?」
「どういうことですか? なぜ、失敗が楽しいことなんでしょうか?」
「だって君、失敗したら、なぜうまくいかなかったのか考えればいいじゃないか。そうすれば、必ず原因が見つかるだろう。
それを解決すれば、ノウハウになるんだよ。ノウハウがあれば、次のチャレンジが成功する可能性は高くなるよね。そう考えれば、
楽しくなるじゃないか!」
私は思わず、突っ込んでしまいました。
「確かに、失敗は糧になるかもしれません。でも、ずっと失敗が続くこともありますよね?」
「失敗が続けば、どんどんノウハウがたまって、他人ができないことができるようなるじゃないか!ワクワクしてくるだろう!」
「なるほど……、でも、ずーっと何年も、失敗ばかりが続いたら……」
「そうしたら、すごいことになるぞ! いつか、世界一になるじゃないか!」
それまでの私の人生観が、ひっくり返りました。
私は自分の頭の中で「当然」と思っていたことが、勘違いだったことに気がついたのです。
失敗は、成功の糧でしかない。失敗するほど、やる気になるものなんだ。
失敗が続くほど、ノウハウがどんどん蓄積して、最後にはだれもできないことができるようになるのだから。
問題があることが問題なのではなく、
その問題をどのように受けとめるかが問題なのです。
思い通りにならないことは困ったことではなく、
思い通りにならないことから学び成長していけばいいだけなのです。
世の中には、「成功と失敗」があるのではなく、
「成功と成長」しかないことに、気がつきました。
ものごとは、最高の結果が出るように考えればいい。
思い通りにならないことからは学んで成長することができるのだから。
人間関係は、強い信頼でつながるように考えればいい。
自分がどのようにかかわるかで、相手の対応も変わるのだから。
人生は、充実感と感動で満たされるように考えればいい。
自分には、よりよい社会をつくることができる無限の可能性があるのだから。
それまでの、私の言葉の定義が間違っていたのです。
私は、失敗するように考えていただけなのです。
成功するように、考えればよかっただけなのに。
本当の問題は、私自身の考え方にあったのです。自分の中にある思い込みが、自分の可能性を閉ざしてしまうことがあることに気がつきました。
それからはずっと、自分の中にある言葉の定義を再構築していく作業を続けています。
今回、それらを出版する機会をいただきました。
事例や物語を通して、誰にでもわかるようにまとめてみました。
本書によって一人でも多くの方々が、自分の無限の可能性を信じて行動し、
夢や目的を実現するきっかけとなれば、それほど嬉しいことはありません。
福島正伸
担当編集者:PHP研究所 佐藤義行さんよりメッセージ
僕は、はっきり言ってネガティブにモノを考えてしまう人間だ。
そう、後ろ向きなのだ。
また、ナマケモノでもある。仕事を早く終わらせて家に帰ってゴロゴロしたいし、ゆっくりと風呂にもつかりたい。
こんな僕でも、がぜんやる気になるときもあるし、「人生、意気に感ず」という瞬間もある。
それは、なにか人の役に立ったとき、社会の役立っていると実感できたときだ。これは仕事の中で感じることが一番多い。
きっと多くの人はそうなのではないだろうか。
仕事って、自分と社会を確実につないでいるものだ。だからこそ、そう実感できるのだ。
社会とダイレクトに結びついているものって、考えてみるとそう多くはないような気がする。その数少ないものが仕事なのだ。
また、人というのはつながりがなければ生きていけないと思うし、その人の存在意義というのは、人とのつながりによって確立されているのだと思う。
その人とのつながりを日本一大切にしている人、それが福島正伸先生だと、僕は自信をもっていえる。
福島先生だって、いやなことやしんどいことがあるだろう。
でも、その片鱗も見せないのが、福島先生の美学だ。
そして、まわりの人を大切にする。これに人はついてくるのだろう。
福島先生は国の宝だと僕は思っている。
こんな後ろ向きで、怠け者の僕ですら、福島先生と会ったとたん、元気にポジティブになる。
福島先生の輝きのおすそ分けがもらえるのだ。
こんな輝いている人は、国の宝でなくてなんなのだろうか。日本という国は、福島先生がいるかぎり大丈夫。
今回編集させていただいた『新・経営用語辞典』は、何気なく仕事で使っている言葉の本当の意味をわからせてくれる。
悪いように使われてしまっている言葉でさえ、光り輝いてみえる。
これがこの言葉の本当の意味なのだ。言葉だって輝く。まして人間が輝かないわけがない。
仕事で輝きたい人、人生を意気に感じたい人、自分自信とまわりを元気にしたい人、ちょっと落ち込んでいる人、こんなんでいいのかと悩んでいる人……。
多くの人に読んでほしい、日本を元気にする本です。
この本に関われたことを誇りに思います。
みなさん、日本を元気にしましょう。